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DATE: 2012/10/02(火)   CATEGORY: 未分類
『死ぬ時に後悔しないために今日から大切にしたいこと』
『死ぬ時に後悔しないために今日から大切にしたいこと』

 背筋がピンと伸びるようなタイトルだ。著者の中下大樹さんは「寺ネット・サンガ」の代表。浄土真宗のお坊さんである。以前から生活困窮者のための葬送支援や自死をめぐるケアなど様々な活動を行っていたが、東日本大震災の後は東北へ足繁く通っての支援も加わった。

 中下さんには2度取材をさせていただいたことがある。1度目は震災前、2度目は震災後。

 1度目からかけがえのない活動をされている方だと感じていたが、2度目にお会いした時には、その存在感がさらに増していた。孤独死(中下さんは「孤立死」であるとされている)の問題、大震災あとの心のケアの問題を全身で引き受けている、そのような気概を感じた。ホスピスで働いていた頃から何千人という看取りの中にいたという、そんな中下さんが自著のタイトルとしてたどり着いた言葉はずしりと重い。

 この本には、中下さんが看取りの現場で、「無縁社会」を思わせる葬儀の現場で、そして大震災あとのむきだしの死の現場で体験したことが記されている。奥付には「この本の印税は全て東日本大震災の被災地支援金とさせていただきます」とあり、中下さんの思いがここに表れていると感じる。体験したこと、感じたことは全て人がその死にざまを、ひいては生きざまを中下さんに示したからこそ書けたことである。きっとこの本は何千もの人が中下さんの手を使って書いたものなのだろう。中下さんは辛い役目を自ら引き受けながら、故人のメッセージを万人に伝えるメッセンジャーとしての役割も果たそうとしているのである。


 さて本にあるのは体験記ばかりではない。仏教界、とくにお布施についての裏話や、無縁社会の病理などが冷静に記されている。
 とくに大胆な論理に魅せられたのが第2章の「離檀のすすめ」。「もしあなたが高額なお布施をお寺に『お包みした』とは思わずに『取られた』と思うならば、そのお寺とのお付き合いをやめることをお勧めする」という一文には頷かされる。そして続く「税金も同じである。『取られた』と多くの国民が口にする」には思わず笑いがこみあげてきた。私たちは納得するものにお金を払っている間は「取られた」なんて全然思わないのだ。
 さらに第3章では、孤立死の現状に触れられている。孤立死と聞くと、私たちの脳裏に思い浮かぶのは独居老人の姿である。しかし、中下さんの経験では、孤立死で最も多いのは50代~60代の男性だという。不景気のあおりをくらって予後悪く、家庭崩壊ののちに酒浸り、というケースが多いようなのだ。独居老人のための市民団体やコミュニティは多くの人々の努力の中でたくさんできてきたが、その少し下の世代をサポートするような活動はあまり聞いたことがない。その差も大きいだろうか。でも、しょうがないような気もする。家庭崩壊したあとに酒浸りの生活を送るような、まだ働ける世代の男性。はたして誰が支援したいと思うだろうか。しかし、しなければならないのだ。「無縁社会」を問題だとするのであれば。そんなことにも思い至った。実際に活動しているからこそ書ける、実態の数々。稀有な本である。
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